「ここで差がつく!」生成AIの活用に大切なプロンプト作りの秘訣と人事部門での活用事例

「ここで差がつく!」生成AIの活用に大切なプロンプト作りの秘訣と人事部門での活用事例

※この記事は、2024年4月開催の当社オンラインセミナーの内容を元に再構成したものです。

この記事では、生成AIを効果的に活用するために大切なプロンプトの作り方や考え方について、人事部門での具体的な実例を交えてご説明します。
プロンプト作成の秘訣や、実際の作業における試行錯誤の過程についても詳しくご紹介しますので、プロンプト作成にお悩みの方にはぜひ参考にしていただきたい内容です。

人事部門での生成AIの活用方法として、例えば次の4つがあげられます。この中には、実際に当社の人事担当者が利用しているものも含まれています。

  • 履歴書の内容分析および評価
  • 面接会話の分析
  • 研修での習熟度テストの作成
  • 面接官の育成用ロールプレイング

今回はこのうち「履歴書の内容分析および評価」について取り上げます。

「履歴書の内容分析および評価」プロンプト作成の背景

多くの企業と同様に、当社でも人手不足に伴い採用活動を強化しています。
採用活動では、人事部門の採用担当者だけでなく、配属予定の部署の社員も面接官として参加することがあります。しかし、面接官を務める社員は、必ずしも面接の経験が豊富とは限りません。また、新しく管理職になった社員が面接の方法に悩むことも考えられます。
そこで、「どのような点に着目すればいいのか」「何を質問すればいいのか」といった、面接に必要なポイントをサポートするためにこのプロンプトを作成しました。

「履歴書の内容分析および評価」プロンプトについて

概要
履歴書から応募者の性格を分析する。文面には表れていない人物像を推測する。
使い方
履歴書の志望動機や自身の強みが書かれてある内容をコピー&ペーストする。
利用シーン
採用担当者が応募者の情報を読み解く際のサポートとして利用。

下図は、GPTに当社で作成したプロンプトと履歴書の自己PR文を読み込ませた分析結果です。

木村情報技術が作成したプロンプトで、ChatGPTに読み込ませた履歴書の分析結果

履歴書の分析結果
(履歴書の内容はサンプルデータです)

この出力結果では、推測される応募者の性格や、履歴書に書かれていないけれども潜在的に持っていると思われる性質、そして面接で確認すべき事項やアドバイスなどがまとめられています。これらを事前に確認してから面接に臨むと便利ではないでしょうか。

業務に最適なプロンプトを作る手順

次に、前述の「履歴書の内容分析および評価」プロンプトの作成手順について具体的に解説していきます。

下図は「履歴書の内容分析および評価」プロンプトの完成形です。

業務に最適なプロンプトの作成には、適切なキーワード選びが重要

「履歴書分析」テンプレート(プロンプト)の完成形

手順1:まずはシンプルなプロンプトを入力してみる

ここが一番重要なステップです。まずは、GPTにやって欲しいことをシンプルに入力してみましょう。

このプロンプトを作成した一つの意図として、履歴書の文面からでは分かりにくい求職者の性質を分析し、知りたかったことがあります。

下図のように、GPTはプロンプトに従って質問に答えてくれていますが、"性格"と"性質"が似たような結果になっていたり、理想の出力結果とは異なっていました。
そこで、「回答結果が履歴書の内容の要約になってしまっている」と「性格と性質の推測で内容がやや被っている」の2点について、改善を試みることにしました。

ChatGPTが理想の回答を提示しない場合、プロンプトを改善

手順1のイメージ

手順2:役割と具体的な指示の表現を変更する

下図は、手順1の改善点を反映したプロンプトです。役割と指示をより具体的に表現しました。ここでは割愛していますが、実際のプロンプトでは「あなたは面接官のサポート役です」と役割を明確にしたうえで、下図の赤文字部分を追記しています。
その結果、よりニーズに合った出力結果が得られましたが、まだ改善の余地がありました。また、出力時は文章だけではなく、一言で要約して欲しいとも考えました。

そこで、次の改善ポイントとして「文章のみの回答ではなく、関連キーワードと解説のセットで出力してほしい」という指示を追加することにしました。

ChatGPTに求める役割と具体的な表現を指定

手順2のイメージ

手順3:キーワードと解説をセットで出力する

下図は、手順2の改善点を反映したプロンプトです。関連キーワードと解説がセットで出力されるようにしました。
この改善により、関連キーワードと解説がセットで出力されるようになりましたが、まだ課題が残りました。

  • 出力のたびに形式が異なり回答が安定しない
  • 出力結果が長文で読みづらい
  • 自分のイメージを言葉だけで伝えるのは難しい

そこで、次の改善ポイントとして「出力のたびに形式が異なり回答が安定しない」に着目し、具体的な指示を追加し、出力の安定性を向上することにしました。

ChatGPTに具体的な表現を指定

手順3のイメージ

手順4:出力例で形式を細かく指定する

下図は、手順3の改善点を反映したプロンプトです。ここでは、出力形式をより細かく指定しました。関連キーワードを【すみカッコ】で囲む、解説の出力方法はこうして欲しい、など具体的な指示を与えています。

ここまでの改善により、冒頭で紹介したプロンプトが完成しました。出力例を段階的に具体化することで、イメージ通りの出力結果を得ることができました。
具体的に指示すると、成果物も具体的になるという点は、人間の作業にも通じるものがあると思います。

ChatGPTに詳細な出力例を指定

手順4のイメージ

これで今回の目的はおおむね達成しましたが、まだ改善の余地はあると考えています。今後は、自社の判断基準をプロンプトに組み込み、それ基づいて分析させる、という使い方も面白いと思います。

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プロンプト作成のもう一つのアプローチ

最後に、もう一つのアプローチ方法をご紹介します。大まかで構わないので、まずはプロンプトを入力してみることから始めましょう。
次に、先ほどの例では出力例を1つだけ指定していましたが、望む出力例を2つ、3つとだんだん増やしていくことで、プロンプトをブラッシュアップしていくことが可能です。

さらに、希望通りに出力されたプロンプトに共通している「うまくいくポイント」を見つけ出し条件に追加していくことで、徐々に社内や部署のノウハウもプロンプトに蓄積されていきます。

最適なプロンプトは、一度で完璧に出来上がるものではありません。前述のように、繰り返しの改善が必要です。この記事が、あなたのプロンプト作成の参考になれば幸いです。

この記事でご紹介したプロンプトの例からもお分かりのように、GPTに入力するプロンプトはかなりのボリュームがあるため、毎回それを入力して作業するのは手間がかかって大変です。
そこで当社では、業務でGPTを手軽に活用できるよう、必要なプロンプトをあらかじめテンプレート化した、生成AI活用システム構築サービス「プライベート生成AI Powered by GPT」を提供しています。

生成AI活用システム構築サービス「プライベート生成AI Powered by GPT」

この記事では、「プライベート生成AI」シリーズの中から、企業・団体向けGPT専用環境「KIT Chat Compass」のテンプレートを活用した事例をご紹介しました。

木村情報技術のプライベート生成AI「KIT Chat Compass」は企業・団体向けGPT専用環境

企業・団体向けGPT専用環境「KIT Chat Compass」

特長1:便利で豊富なテンプレート

目的に合った専用テンプレートを選ぶだけで、高精度な作業が誰でも簡単に行えます。煩わしいプロンプトの入力が不要です。

特長2:オリジナルのテンプレート作り放題

GPTモデルの選択、プロンプト作成、メッセージや会話の保持制限、公開/非公開設定など、自身の業務に最適なオリジナルテンプレートを簡単に作成可能です。
さらに、木村情報技術の専門スタッフが最適なプロンプトやテンプレート作成をサポートします。

特長3:企業や団体の運用に適した管理機能

全ての利用者のチャット入出力データを、クラウドシステム上で安全に記録。後からデータ確認や、利用トークン数、料金のチェックも可能です。

特長4:セキュリティ対策

企業ごとに、専用サーバーをセキュアなクラウド環境で構築します。
GPT自体はAzure OpenAI Service APIを推奨提供しています。データの気密性が高く、学習データとしての二次利用も防止されます。

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この記事の執筆者

山本 久美子
山本 久美子
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