生成AI、活用しないのはもったいない!【企業の活用事例5選】
※この記事は、2024年4月開催の当社オンラインセミナーの内容を元に再構成したものです。
生成AIは企業や私たちの身の回りで急速に普及し、ニュースや新聞でも頻繁に取り上げられています。しかし、2024年4月の調査では「生成AIの利用経験がある」と答えた方はまだ約4人に1人にすぎません。これは非常にもったいないことです。
この記事では、生成AIの活用に必要なプロンプトの基本と、具体的な企業の活用事例についてご紹介します。
はじめに:プロンプトに必要な要素
ChatGPTなど生成AIの活用には、指示文や命令文、いわゆるプロンプトが必要です。まずは、実際の業務に役立つオーソドックスなプロンプトをご紹介します。
以下は基本のプロンプトと実例です。役割や作業手順、ルールを具体的に指示することが大切です。
もし出力結果が不十分だと感じたら、さらに条件を追加していきます。当社でも社内で生成AIを活用しており、プロンプトも自作していますが、多くの場合はこの形式を使用しています。
基本のプロンプト
役割(目的)
役割や作業の概要を指示
作業手順
作業の順番を指示する
ルール
制約条件などを指定する
出力フォーマット
出力してほしい要素や形式を指定する
+α(#参考情報 #評価 等を必要に応じて加える)
実例:基本のプロンプト
GPTに具体的な内容を入力すると、テキストはこの程度のボリュームになります。そのため、毎回このようにプロンプトを入力して作業するのは大変な手間がかかります。
そこで当社では、業務でGPTを手軽に活用できるよう、必要なプロンプトをあらかじめテンプレート化した、生成AI活用システム構築サービス「プライベート生成AI Powered by GPT」を提供しています。
企業でのGPT活用事例5選
ここからは、「プライベート生成AI」のテンプレートを使った、企業でのGPT活用事例を5つご紹介します。
1.「議事録作成サポート」
- 目的
- 会議の文字起こしデータから議事録を作成する
- 使い方
- 文字起こしデータの全文をコピー&ペーストする
- 利用シーン
- 部内定例ミーティングの欠席者に回覧する簡易議事録の作成
まずは「議事録作成サポート」です。この使い方は、既に取り入れられている企業も多いでしょう。当社でも頻繁に活用しており、GPTの入門編とも言える活用法です。議事録の作成は多くの企業で必要なため、まずはここから生成AIを活用するのもおすすめです。
オンライン会議でよく使われるZoomやTeamsには、文字起こし機能があります。文字起こししたデータをテンプレートに入力すると、次のように議事録が作成されます。
入力と出力のイメージ/「議事録作成サポート」
感覚的に精度は6~7割程度で、誤りや好ましくない表現は人が修正する必要があります。完璧な議事録作成を目指すというよりも、素早く議事録を作成し、関係者に迅速に共有できることが大きなメリットです。
最近は製造業のお客様から、業界や社内の専門用語への対応や、企業独自の様式での議事録作成についての相談を受けましたが、プロンプトに条件を追加することでチューニングが可能です。
2.「契約書リスク評価」
- 目的
- 相手方書式の契約書をチェックし、自社にとってのリスク要因を洗い出し、条文修正を提案してもらう
- 使い方
- 契約書の全文をコピー&ペーストする
- 利用シーン
- リーガルチェックに回す際の参考材料として活用
続いては「契約書リスク評価」です。こちらは、お客様からのご相談を受けて作成したもので、当社でも実際に活用しています。
新しく契約を締結する際には、まず契約書のたたき台を作成し、その後両社の法務部門で確認や協議を行いますが、多くの労力と時間が必要です。そこでGPTを活用することで、これらのプロセスを自動化・効率化することが可能です。
入力と出力の実例/「契約書リスク評価」
まず、「契約書リスク評価」用のプロンプトが設定されているテンプレートを選択し、契約書の内容をコピー&ペーストして送信します。すると、GPTが契約書のリスク箇所をピックアップし、潜んでいるリスクを指摘し、さらに修正案も提示してくれます。
法務担当者は、正確さが要求されるうえに業務量が多く、多忙になりがちです。GPTを活用することで、こうした一連の作業を数分で終えることが可能になります。
最終的には人による確認が必要ですが、業務の効率化が大いに期待できます。
3.「取引リスク分析」
- 目的
- 客先の支払条件や支払い方法から、自社にとってのリスク要因を洗い出す
- 使い方
- 客先の支払条件(入金条件)、支払い方法等を入力する
- 利用シーン
- 案件ごとの取引において客先の一次分析に利用
3つ目は、商社の客様からご相談を受け作成した、「取引リスク分析」のテンプレートです。これにはあらかじめ契約に関する条件や基準が設定されており、取引リスクを自動的に分析する仕組みが組み込まれています。
新しい取引を始める際は、少なからずリスクが伴います。通常、リスク分析は人の手で行われますが、このテンプレートを活用することで、業務効率化が図れます。
入力と出力の実例/「取引リスク分析」
上の図のように、GPTからの質問に答えると、リスク度や考えられるリスクについてのアドバイスが得られます。得られた情報を参考にして、取引の進め方を検討することが可能です。また、人の主観や感覚が入らないという点もメリットの1つです。
4.「シフト案の作成」
- 目的
- パート社員のシフト案作成に利用
- 使い方
- イベント案件の日付と時間を入力
- 利用シーン
- パート社員のシフト案を作成する
4つ目に紹介するのは、当社でもよく使用されている「シフト案の作成」です。当社では、自社スタジオを使用するライブ配信のお仕事を多く依頼いただいていますが、それに伴いスタッフの人員調整が必要です。
従来は管理職の社員がシフトを考えていましたが、GPTを使うことでシフト案の作成作業が劇的に効率化されました。
例えば、「Aさんはこの日時で勤務可能」「Bさんはこの日なら都合がいい」「特定の人にシフトが集中しないように」といった情報をテンプレートに入力します。さらに質問欄に案件の内容を入力すると、わずか数秒でシフト案を作成してくれます。
入力と出力の実例/「シフト案の作成」
さらに、例えば「この日はAさんが入れなくなった」といった変更があった場合でも、その情報を入力すれば、すぐに代替案が提示されます。従来はその都度メンバーに直接確認していましたが、テンプレートを活用することで見落としや偏りが減少しました。
このように、人力で行っていたときの問題点を解消し、効率的にシフト作成ができるようになります。
5.「想定問答集の作成」
- 目的
- 経営企画部等でIR情報の想定問答集を作成する
- 使い方
- 決算短信や四半期決算概要等のIR資料の全文をコピー&ペーストする
- 利用シーン
- 投資家向けQ&Aの作成や、株主総会用の想定問答集作成に利用
最後にご紹介するのは、こちらもご相談を受ける事が多い「想定問答集の作成」です。
企業業のIR部門では、たとえば株主総会に向け想定問答集を作成する際、手作業で作成することが多いと聞きます。想定問答集の原稿作成には時間がかかり、重要な情報を含むため関係者の確認にも時間がかかります。
そこで、テンプレートを活用して作業を自動化した例をご紹介します。
入力と出力の実例/「想定問答集の作成」
企業の四半期報告書と決算短信の2つのデータを読み込ませると、想定される質問と、それに対する模範解答が生成されます。さらに、GPTは見やすいように表形式で提示してくれます。
このように一定の精度で回答が得られるため、あとは人が少し手直しするだけで想定問答集が完成します。
【雑感】企業分析と就職活動
企業の業績分析といえば、採用活動の場でも、多くの学生がChatGPTなどの生成AIを活用していると聞きます。例えば、企業訪問の際に興味のある企業の四季報を要約したり、企業分析をしたり、積極的に活用しているそうです。さらに、3人に1人はエントリーシートの作成にも生成AIを活用しているとも言われています。
私たち企業側は、その前提で新入社員を迎え入れる準備が必要です。当社では、新入社員向けに生成AIのワークショップを行っていますが、中には「この内容はすでにやっている」と言う学生もいます。
もともとIT企業志向の学生が多いことも一因かもしれませんが、企業側としてもレベルアップが求められていると感じます。
生成AI活用システム構築サービス「プライベート生成AI Powered by GPT」
この記事では、「プライベート生成AI」シリーズの中から、企業・団体向けGPT専用環境「KIT Chat Compass」のテンプレートを活用した事例をご紹介しました。
企業・団体向けGPT専用環境「KIT Chat Compass」
特長1:便利で豊富なテンプレート
目的に合った専用テンプレートを選ぶだけで、高精度な作業が誰でも簡単に行えます。煩わしいプロンプトの入力が不要です。
特長2:オリジナルのテンプレート作り放題
GPTモデルの選択、プロンプト作成、メッセージや会話の保持制限、公開/非公開設定など、自身の業務に最適なオリジナルテンプレートを簡単に作成可能です。
さらに、木村情報技術の専門スタッフが最適なプロンプトやテンプレート作成をサポートします。
特長3:企業や団体の運用に適した管理機能
全ての利用者のチャット入出力データを、クラウドシステム上で安全に記録。後からデータ確認や、利用トークン数、料金のチェックも可能です。
特長4:セキュリティ対策
企業ごとに、専用サーバーをセキュアなクラウド環境で構築します。GPT自体はAzure OpenAI Service APIを推奨提供しています。データの気密性が高く、学習データとしての二次利用も防止されます。