オンラインセールスで注目される「カスタマーサクセス」とは?役割やカスタマーサポートとの違いを解説

オンラインセールスで注目される「カスタマーサクセス」とは?役割やカスタマーサポートとの違いを解説

デジタル時代に突入し、BtoB企業のビジネスモデルは大きく変化。そんな中、「カスタマーサクセス」が注目を集めています。カスタマーサクセスとは何か、職種としての役割や目的、カスタマーサポートとの違いなど、当記事ではカスタマーサクセスの基礎知識をお伝えします。

「カスタマーサクセス」とは?

カスタマーサクセスの目的

カスタマーサクセス(Customer Success) は米国で生また概念で、その本質は「顧客に成功を届ける」ことです。すなわち、製品やサービスを購入した顧客に対して、その要望を満たし、成長を促すことをビジネスの帰結とする考え方です。

米国でも新興の概念であり、米国カスタマー協会の創立者であるマイケル・ブレイゼル氏によると、カスタマーサクセスが広まったきっかけは、米国でベンチャーキャピタリスト(ベンチャー企業に投資をする投資会社や投資家)が、投資先に対してカスタマーサクセスの実行と強化を求めたことだとしています。

カスタマーサクセスが注目される理由

昨今、カスタマーサクセスが重要視されるようになった背景には、いくつかの要因があります。

デジタル技術革新によるビジネスモデルの変化

デジタル技術革新のイメージ

デジタル技術革新により、クラウドサービスによるサブスクリプションモデル(会員サービスを受ける期間に応じて、固定制もしくは従量制の利用料を支払う課金制度)が登場し、顧客に継続的な利用を促すカスタマーサクセスに目が向けられるようになりました。

また、サブスクリプションモデルのほかに、リテンションモデルの登場もカスタマーサクセスの大切さを訴えるきっかけとなっています。

なお、リテンションモデルとは、「リテンション=カスタマーを虜にするモデル」であり、以下の4条件全てにあてはまるのがリテンションモデルだと定義づけられています。

  1. 利用者が、日常的・継続的にそのプロダクトを利用し、モノの所有に対してではなく成果に対して対価を払う。
  2. 利用者が、いつでも利用を止める選択権を持ち、かつ初期費用が非常に少なくてすむ。
  3. 利用者が、それ無しでは生活や仕事ができない・使い続けたいと断言できるほど明らかにプロダクトがつねに最新状態に更新・最適化されて続ける。
  4. 利用者が、自分にとって嬉しい成果を得られるならば、自分の個人データをプロバイダーが取得することを許す。

(リテンションモデルの定義/『カスタマーサクセスとは何か(弘子ラザヴィ/英治出版)』より)

「所有から成果」へとシフトした消費者意識

消費者の価値観が「所有」から「体験や成果」に変化したこともカスタマーサクセスを後押しした要因です。利用者は、継続的なプロダクトの「所有」ではなく、プロダクトから得られる「成果」や「体験」に価値を見いだすようになりました。

コロナ禍におけるオンラインセールスとインサイドセールスの拡大

コロナ禍で多くの企業がオンラインセールスに移行し、訪問せずに売上げを伸ばす方法としてインサイドセールスに注目する企業が増えています。インサイドセールスでは、「インサイドセールスの本質はカスタマーサクセスにある」と言われるほどカスタマーサクセスは重要な分野であり、こうした事情からカスタマーサクセスの認知は一段と広まりました。

上記から分かるように、カスタマーサクセスの台頭には、デジタル革新や感染症対策をきっかけとしたビジネス環境の変化や、消費者の価値基準が大きく変化したことが影響しています。

職種としてのカスタマーサクセス

カスタマーサクセスの仕事

カスタマーサクセスを重要視する投資家の中には、ITバブルやリーマンショックが起こった2000年代に激しい企業競争を勝ち抜いてきた経験者も多く、カスタマーサクセスを自社ビジネスに取り入れる人も出てきました。

こうした流れの中、カスタマーサクセスの概念を実践すべく生まれたのが、職種としてのカスタマーサクセスです。

カスタマーサクセスという職種は、文字通り、顧客を成功に導く仕事です。
自社の製品やサービスを利用する(既存の)顧客に対して、その利用を通して顧客の成功や成長を支援することがおもなミッションです。

カスタマーサクセスは基本精神を「商品は購入してもらってからが勝負」という点に置き、「自社製品を通じた顧客の成功・成長が、その製品の継続的な利用につながり、ひいては自社の利益をも最大化する」という考え方を持っています。

カスタマーサクセスは提唱当初、SaaS企業(※)を中心に取り入れられていましたが、ここ数年で非ソフトウェア業界まで広がるようになりました。以降、カスタマーサクセスの求人も増加しています。

※SaaS企業・・・クラウド上でソフトウェアを提供する会社。SaaS(サース)は Software as a Serviceの略称。

「カスタマーサクセス」と「カスタマーサポート」の違い

さて、カスタマーサクセスは、カスタマーサポートと言葉の響きが似ていることから、しばし混同されることがあります。しかし、前途のことからも推測できるように、両者には大きな違いがあります。
ここで、カスタマーサクセスとカスタマーサポートの相違点を見てみましょう。

カスタマーサクセス カスタマーサポート
役割や目的 顧客を成功に導くこと 顧客からの問合せやクレームに迅速に対処すること
スタンス 能動的 受動的
顧客との関わり方 連続的/中・長期的 断続的/短期的
成果を示す指標 顧客数、導入率、利用継続率、定着支援、解約率など 対応件数、応答時間、解決時間、解決率など

こうして見ると、両者の明確な違いが理解できたのではないでしょうか?カスタマーサクセスは単なる顧客対応ではなく、自社の売上げを左右する役割を担っているのです。

カスタマーサクセスに求められることとは?

成功へのステップアップのイメージ

カスタマーサクセスとは、デジタル時代のお得意様戦略でもあり、その神髄は、顧客に寄り添いながら成果を上げていくことです。
そのため、カスタマーサクセスの担当者には次の姿勢が求められます。

  • 顧客にとっての成功を正しく理解する
  • 売るべき相手と売るべきでない相手を見極める(成功に導けない場合には売らない)
  • 顧客を成功に導くまで責任を持って行動する
  • 顧客との信頼関係を築き、末永い関係性を保つ
  • 社内(部署間)の円滑なコミュニケーション
  • 製品やサービスの開発を手がけるプロダクト部門との綿密な連携を欠かさない
  • さまざまなデータを活用し、成功への道筋をつける
  • 顧客のチェンジマネジメント(※)に積極的に関わる

もちろん、上記以外にもカスタマーサクセスに求められることはもっと多く存在します。しかし、どんなケースにおいても、顧客を成功に導くといった本質が変わることはありません。

※チェンジマネジメント・・・ビジネスにおける課題や対応策を洗い出し、行動計画を作成し、その実行を組織的に支援することによって変革を成功に導く手法。

木村情報技術のカスタマーサクセス(顧客支援)

デジタル化社会のさらなる進行によって、カスタマーサクセスは、多くの企業にとって重視すべき分野となっていくことが予測されます。

事実、コロナ禍以降、日本でもオンラインセールスやインサイドセールスの導入によって、カスタマーサクセス分野に目を向ける企業が増えてきました。 こうしたことから、SaaS企業で有る無しに関わらず、カスタマーサクセスという視点から自社サービスを俯瞰したり、顧客対応したりすることは、今後企業にとって欠かせないことになりそうです。

顧客支援

木村情報技術でもカスタマーサクセス専門の人員を配備し、顧客支援の強化に力を入れています。

木村情報技術が提供する全てのAIソリューションは、「導入で終わるのではなく、導入後がスタート」です。
システム導入時に定めた目標や課題解決を全社的にバックアップし、カスタマーサクセスの担当者がお客様と伴走して実務を遂行。お客様の導入目的に合わせた運用サポートやAIについての分かりやすい説明、基本サービスにはないアドバイス(システムの操作やExcelを一工夫する提案等)のほか、お客様の課題に応じたさまざまな提案(チェンジマネジメント)を行い、AIシステム導入によるビジネスの成功を支援します。

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この記事の執筆者

編集部
編集部
木村情報技術の中の人です。
テクノロジーとアナログ力を結びつけた情報を発信します。

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