Web会議の成功はファシリテーター次第。会議を活性化する4つの役割
会議において議事をスムーズに運べるか否かは、進行役となるファシリテーターの力量次第。また対面会議であれば、参加者はその場の雰囲気を肌で感じられますが、Zoomなどを使用して行うWeb会議では、ファシリテーターが中心となって参加者に活発な発言を促す必要があります。
そのためファシリテーターはWeb会議の成功のカギを握る非常に重要な役割を担っています。 今回は、ファシリテーターとして求められる役割を押さえながら、Web会議を成功させるコツを解説しましょう。
ファシリテーターとは
日本語にすると「促進者」という意味を持つファシリテーターですが、実際には会議の中心となって場をまとめていく「進行役」にあたります。ファシリテーターの目的は、大きく3つ。
- 参加者一人ひとりに発言を促す
- より議論が深まるように先導する
- 問題が解決にいたるように議事を進める
この目的を達成するためにも、ファシリテーターは常に議論の中立的な立場から参加しなければいけません。会議を支配しようとしたり、結論を強引に導いたりすることなく、参加者の満足度の高い結論へ意見をまとめることが大切です。
事前の準備を抜かりなく
進行役としての役割を果たすには、事前の準備が重要です。まず議題について主宰者と打ち合わせて、参加者に会議の詳細について通知します。特に「なんのための会議か」「会議で目指すこと(解決すべきこと)」を明確にしておきましょう。この点について実際の会議の冒頭で、改めて参加者に伝えることで、スムーズな導入に繋げます。
使いこなせるようにしたい機能
Web会議において、ファシリテーターがその使用法を熟知しておくべき機能があります。共有方法や表示の操作など、しっかり押さえておきましょう。
ホワイトボード
Web会議の参加者が共有し書き込める、オンラインのホワイトボードがあると非常に便利です。社内で採用しているツール、もしくは汎用性の高いGoogleドキュメントなどで構いません。このホワイトボードには、あらかじめ議題をまとめておき、そこにアイデアや確定事項を書き込んでいきます。会議中は、参加者に自由に書き込むよう促しましょう。
チャット
誰かが発言しているときも、それについての疑問点や気になる点、フラッシュアイデアをどんどんチャットに書き込んでもらいましょう。ファシリテーターは、チャットの流れに目を通しながら、会議の方向を修正し効率的に議論を深めていくようにします。
ファシリテーターの役割
先ほど、ファシリテーターは参加者の満足度の高い結論へと意見をまとめることが大切だと言いました。もうひとつ大切なことは、予定時間までに会議を終わらせることです。この2つを実現するために、ファシリテーターが果たさなければいけない役割を説明しましょう。
ルールの設定
Web会議では、別々の場所にいる参加者がそれぞれ異なる環境からアクセスします。さらにWeb会議のルールや慣例についても、参加者それぞれに異なった認識を持っていることが多いです。そこで最初にファシリテーターが会議のルールを明確にし、提示しておく必要があるでしょう。
カメラのオン/オフ
特に大切なルールが、カメラのオン/オフの設定です。その判断は、企業によって慣例やルールが異なります。
企業内の比較的フラットなWeb会議であれば、カメラはオフでも構わないかもしれません。しかし対クライアントのWeb会議や、重役が出席する企業内の会議の場合は「会議だから顔をみせるべき」と考える人もいるでしょう。また、初顔合わせの参加者が多い会議では「顔見せ」が重要です。そこでファシリテーターが、Web会議の冒頭でルールをはっきりさせます。
基本的にファシリテーターは常にオン。参加者については、その関係性によってケースバイケースでルールを設定します。「発言時のみカメラをオンにする」「初参加者がいる場合は、最初の挨拶時のみオンにする」など、柔軟なルール設定も有効でしょう。
発言の意思表示
カメラのオン/オフにもよりますが、総じてWeb会議では発言のタイミングを測るのが難しいものです。そこで最初に、発言のルールを決めておきましょう。
具体的には、
- Web会議ツールの挙手機能を使用する
- (カメラオンの場合)挙手する
- (カメラオフの場合)部署名と名前を言ってから発言する
といったルールが考えられます。
明るく前向きな雰囲気を保つ
いかにファシリテーターが「会議の空気を温め」「前向きな雰囲気を保つか」がWeb会議の成功のカギとなります。そのためにファシリテーターは、以下のことを心がけます。
会議中に心がける5つのポイント
- 会議の冒頭、雑談で場を和ませる
- 意識的にハキハキと話す
- ややオーバーなリアクションを心がける
- "あいづち"や"うなずき"で「聞いています」というアピールをする
- 画面に映る自分の顔をイメージし、常に口角を上げておく
そのほか「参加者の発言内容をまとめる」「発言者に真意や意図を確認する」行為も、活発な意見交換に繋がります。
発言のコントロール
決まった参加者が発言してばかりいるWeb会議は、成功とは言えません。またそうした会議では、意見があるのに発言の口火を切れない人や、発言の意思表示をしていても気づかれずにスルーされてしまう人がいるものです。
そこでファシリテーターは、あまり発言していない参加者に声掛けや質問を行い、意見を引き出す「アイデアマネジメント」を行わなければいけません。同時に参加者全員に、「当事者である」という意識を途切れさせないことが重要です。
質問しても、はっきりした発言が返ってこない場合もあるでしょう。そのときは質問の間口を狭めると効果的です。たとえば、イエス/ノーで答えられる質問にしたり、その人の専門分野、担当部署に限った質問にしたりするといいでしょう。
さらに発言者に対して、「いいアイデアですね」「それは思いつきませんでした」といった褒め言葉も有効です。そこから「このアイデアに対して、○○さんはどう思われますか?」といった議論の展開も、より活発な発言につながります。
オンタイムの進行
「終わりの見えないWeb会議ほど無駄なものはない」というのは、皆さん一度は実感されたことではないでしょうか?
そもそもWeb会議の参加者は、対面での会議のように移動時間を考慮していないので、予定終了時間のすぐ後に別のWeb会議を設定している場合があります。そのために、ファシリテーターは終了予定時間までに終わらせる進行、時間配分を行う「タイムマネジメント」を行わなければいけません。Web会議では回線状況による中断など、突発的なアクシデントに見舞われることもしばしば。そうしたことも想定し、余裕を持った進行を心がけるようにします。
しかし会議によっては、議論を尽くしてなお結論に至りそうにない場合もあるでしょう。そういうときは、まだ時間に余裕があるタイミングで
- 参加者の多数決
- 決裁者に委ねる
- 時間を延長するか別の会議を設定し、全員の合意を得るまで議論する
という決定方法を事前に参加者に提示し、終了時間まで議論を深めるようにします。
参加者の心をひとつにまとめるファシリテーター
遠隔地からでも参加できるWeb会議は、その利便性からまたたくうちに活用されるようになりました。コミュニケーションを行ううえで、Web会議は対面での会議に比べて情報量に劣ります。その一方でWeb会議は、斬新なアイデアを拾い上げることも可能です。
そのなかでファシリテーターは、活発な意見を誘って場を温めつつ、斬新なアイデアに対して中立的でありながら議論を深め、より良い結論へ到達させる先導者になれます。これまで解説してきたことを踏まえ、より充実したWeb会議を実現してください。