東京慈恵会医科大学/麻酔科学講座
松本 尚浩 先生
2012年3月21日 九州大学インストラクショナルデザインセミナー
「講義しない授業のすすめ」
EEP(教育の質向上支援プログラム)の一環として、九州大学でインストラクショナルデザイン(ID)のセミナーを開催しました。
「講義しない授業のすすめ」~Instructional Systems Designと携帯端末レスポンスシステムの応用~と題して、「3eAnalyzer」を使った授業とその理論的背景(ISD)について実演・体験付きの講演を行いました。
>>「講義しない授業のすすめ」チラシ
学生が受け身で聞くだけの授業から能動的に考える授業への転換
セミナーでは、学生が受け身で聞く(or眠る)だけの授業から、 学生が能動的に考える(or眠くならない)授業への転換方法として、携帯端末レスポンスシステムを用いたアンケートを提案しました。
講義内容についての事前アンケートを始め、講義中には試験問題としても使用します。そして、講義後には感想アンケートを収集して、次回の講義に活かすことができます。
先生からの講演後のコメント
授業に「講義形式」を採用したのは、太古の昔、安価に一度に大人数の聴衆に情報を伝える方法として、学校ができる以前から行われていた「賢者の説教」や「政治家の演説」を模倣したからでしょう。聴衆が文盲であったり、賢者や政治家に対するように講師に憧れをもっていれば、「講義形式」はなおさら有効かもしれません。
時代は変わり、私たちが学ぶべき情報量は昔に比べ非常に膨大です。授業中伝えることのできる情報量が、学ぶべき情報量のほんの一部に過ぎない時代になっています。しかも学生が情報を得る手段は、太古のように授業中情報を得ることが主流ではなくなっています。そんな今、授業の機能は何でしょうか?
今回の発表では、従来のアンサーパッドで授業中の学生の動機づけを保証する使いかたは当然として、授業の前にどのようなことを学ぶことができ、学生が何を学びたいか、「シュウケイタイ、3e-Mobyzer」を用いて、学生に投票してもらい、この結果に応じて授業計画を立てる。授業後も、「シュウケイタイ、3e-Mobyzer」を用いて、授業中学んだ知識で、問題が解けること、そして授業で意識がどのように変わったか調査する例を示しました。
授業を単なる講義にせず、「シュウケイタイ、3e-Analyzer、3e-Mobyzer」を用いれば、その授業で学生・講師双方向的、そして学生共同作業的な場を創り、学ぶことが魅力的で、学ぶ意欲を高め、講師への憧れから講師を「真似ぶ」場を創る可能性を追求でき、授業がよみがえると私は信じています。